2026年7月28日発売。海外メーカーとして初めて日本の軽規格に合わせて専用設計された、両側電動スライドドアのスーパーハイト軽EVです。受注・登録の数字と、試乗者・購入者の声を整理しました。
輸入車としては異例の好スタート。ただし掲げた「年内受注1万台」には遠く、ナンバーが付いた台数はまだ受注の半分ほどです。クルマ自体の出来は評論家筋でかなり高評価、一方でネットでは「中国製」への拒否感が根強く、評価が真っ二つに割れています。
※10月分は全軽自協の速報で「BYD」メーカー合計607台。BYDの軽はラッコのみのため実質ラッコの数字と見られますが、車名別の確報は11月中旬公表予定です。
発売2週間で1,000台を超え、BYDの日本導入モデルでは過去最速のペースでした。ただ、その後は月300〜400台程度に落ち着いています。BYDは「年内に受注1万台」を目標に掲げていましたが、10月中旬時点で約2割。一定ペースで1万台に向かうなら10月中旬には5,000台超が必要だった計算で、目標達成はかなり厳しいと見るのが自然です(これは単純計算による私の見立てです)。
なお、お盆明けにBYDの大型店を取材した記事では、店舗の成約は7台で「来店は多いが成約率が低い」という声もありました。一方BYD側は「店舗あたり月約20台ペース」と説明しており、店によって温度差がありそうです。
8月の登録が81台だったことで、ネットでは「81台しか売れていない」という話が広がりました。実際は受注の8割以上を占める上位グレード(300系)の納車が9月後半まで始まっていなかったためで、受注と登録のタイムラグによるものです。上位グレードはブレードバッテリーの確保に時間がかかっており、9月末時点でバックオーダーが約1,300台ありました。
比較のため、8月の軽EVの登録は日産サクラ853台、三菱eKクロスEV101台、ラッコ81台。10月の約607台はサクラの月販に並ぶ水準で、納車が進んだ今後の月がようやく「実力」を示す数字になりそうです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| グレード | 最上級「300Premium」(249.7万円・航続320km)が約8割(9月末時点で85%)。エントリーの「200」(214.5万円・210km)は少数 |
| 客層 | BYD初購入が約8割。30〜50代の主婦層が中心で、女性比率が高めと報じられています |
| 人気色 | アークティックホワイト44%、チーズイエロー20%、コスモスブラック/ミッドナイトグリーン各12% |
| 充電環境 | 初期受注者の半数以上が自宅に充電設備あり |
注意点として、上位グレードの納車が始まって1か月半ほどしか経っておらず、長期オーナーのレビューはまだほとんどありません。以下は評論家の試乗記と、試乗者・契約者の口コミが中心です。
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 補助金の差 | 国のCEV補助金はラッコが一律15万円、サクラやN-ONE e:は58万円。2026年4月の制度改定で国産電池や整備体制を重視する形になったため。補助金込みの実質価格では、サクラの最安グレードがラッコより安くなります |
| 商品力の差 | サクラは航続180kmのハイトワゴン、ラッコは最大320kmのスーパーハイト+両側電動スライドドア。装備と航続で補助金差をある程度埋めている格好です |
| 販売網 | BYDは年内100拠点を目標に拡大中。近くにディーラーがない地域ではアフターサービスへの不安が残ります |
| ローン | 残価率50%の5年据置ローンで月々1万9,300円から。車両保証6年・15万km |
| 新たなライバル | スズキ初の軽乗用EV「e SKY」が212万円で11月16日発売。日経は「BYDを超える航続距離」と報じており、今後の受注への影響が注目点です |
「売れているか」への答えは、比べる相手で変わります。BYDの2025年の日本での乗用車登録は年間3,742台。それを考えると、2か月半で2,000台超の受注は同社にとって明らかな成功で、軽EVの中でもサクラに次ぐ存在になりつつあります。一方、目標の年内1万台や、月2万台近く売れるN-BOXと比べれば、まだ「話題の新顔」の段階です。11月中旬にスズキe SKYが出ること、上位グレードの納車ペース、そして実オーナーの長期レビューが出そろう年末〜来春が、本当の評価の分かれ目になりそうです。